宗教とツーリズム研究会

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第23回研究会

日時:2019年8月7日(水)13:30〜17:00
場所:北海道大学東京オフィス ※東京駅直結です
(東京都千代田区丸の内1丁目7-12 サピアタワー10階)

アクセスマップ
https://www.hokudai.ac.jp/introduction/annaizu.pdf
3階のオフィスエントランスの受付で入館証をお受け取りのうえ、セキュリティゲートを通過して10階にお越しください。

※入館証準備の都合上、7月30日(水)16時までに下記の研究会事務局にご連絡ください。
 religio.tourismoアットgmail.com

(1)西村 公一 氏(北海道大学大学院
「持たざる村落」の観光取組:岩手県二戸市足沢集落を事例として

 訴求力の高い観光資源を持たない村落における観光取組は、地域社会にいかなる効果をもたらすのか。そして、取組の背景にはいかなる住民の動機が存在するのか。岩手県二戸市足沢(たるさわ)集落での調査からは、観光取組は経済面・環境面よりも社会面での効果、特に地域住民の関係性に影響を与えることが見えてくる。

 本発表では、観光取組が形成する人的ネットワークを描き出すと共に、過去に集落に存在していた主要な人的ネットワークとの比較・検討を行ない、社会関係資本論の観点から分析してみたい。さらに集落住民の語りを分析し、Z・バウマンらの不安論を参照しながら、住民が観光に取り組む動機を探ってみたい。

(2)問芝 志保 氏(日本学術振興会特別研究員)

スピリチュアル・マーケットのなかの先祖供養と墓参り(仮)

 2000年代以降のスピリチュアルブームやパワースポットブームは墓の領域にも広がりつつあり、近年では自家の先祖の墓を「あなただけのパワースポット」と呼び、墓参りを「開運」や「浄化」の実践と説くような書籍が相次いで刊行されている。もっとも、現世利益を求めた建墓や墓参り自体は昭和戦前期に現れた「墓相学」以来行われており、決して新しい現象ではないが、やはり戦前・戦後、そして今日に至り、時代を経てその具体的な中身は大きく変化を遂げているといってよい。
 本発表では、こうした言説をスピリチュアル・マーケットにおける供給側のマーケティング、および需要側の宗教的ニーズという観点から時系列的に整理・分類し、その変容を分析する。そのうえで、今日的な特徴を明らかにし、一見時代錯誤にも思われる先祖供養や墓参りが、現代日本社会を生きる困難といかに結びついているのかを考察する。