宗教とツーリズム研究会

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第12回研究会

【日時】11月19日(土)13時〜18時 

【場所】國學院大學渋谷キャンパス学術メディアセンター棟5階・会議室06
(交通アクセス) http://www.kokugakuin.ac.jp/guide/access.html

【1】神と共に歩く―台湾における媽祖進香とその展開―
   鈴木洋平 氏(東京大学大学院総合文化研究科博士課程)

台湾では、漢人社会に有名な媽祖を祀る廟が各地に見られ、生誕月とされる旧暦三月には進香などと呼ばれる廟から廟への参拝が行われる。進香は日本統治時代以前より見られ、政治的・社会的状況の中で変化を続け、近年ではライブカメラ中継などの新技術も積極的に取り入れ、今なお十万人余りの参加者を集めるものもある。本発表では台中県の鎮瀾宮による媽祖進香を事例に、現代台湾社会における進香が持つ民俗学的課題を検討したい。


【2】「森の僧院」の挑戦―ミャンマーにおける「聖地化」をめぐるダイナミズム―
   藏本龍介 氏(東京大学大学院総合文化研究科博士課程)
1970年代以降、上座仏教徒社会では世俗から物理的に離れた場所で修行する出家者が、それゆえに都市住民の人気の的となりヒト・モノ・カネを集積するという、「聖人化」・「聖地化」と呼べるような現象が広くみられるようになった。その背景はなにか。そして当事者である出家者はこうした「聖人化」・「聖地化」にどう対応しているのか。ミャンマー最大都市ヤンゴン郊外に建てられた「森の僧院」を事例として分析する。

【3】亡命チベット人たちの“巡礼”―チベット高原とその外延をめぐって―
   別所裕介 氏(広島大学大学院国際協力研究科)
本発表では、前近代のチベット高原域における巡礼の無境界的な空間のひろがりを踏まえたうえで、境界化された現在の中国領チベットを超出しようとする越境行為を、①私的巡礼(日常と非日常)、②公的理由による巡礼(機構内巡礼)、③外延を超えていく巡礼(機構外巡礼)、という3つの仮説的移動様態の中に定位する。その上で、③の越境行為が持つ現代的な意味を、前近代の「無境界空間」とのかかわりで捉えることを試みる。