宗教とツーリズム研究会

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第13回研究会

日時:2012年2月18日(土)13〜18時半
場所:國學院大學渋谷キャンパス学術メディアセンター棟5階・会議室06

http://www.kokugakuin.ac.jp/guide/access.html

【1】死者が目的地を作る
   ―「京都怪談夜バス」におけるモノのエージェンシーと心霊スポットの関係性をめぐって―
アンドレア・ディ・アントーニ 氏(日本学術振興会外国人特別研究員(京都大学人文科学研究所))

宗教とツーリズムの文脈においては「聖地」も含む目的地の「他者性」が注目されている。山中(2010)が提案する様に、様々なアクター達の間の相互作用による他者性の構築過程を検討することが重要である。また同様に「死・悲劇・災害に関する場所で見物する」と定義されている「ダークツーリズム」の研究文脈の中でも、「ダーク」な目的地が様々なアクター達の関係性の中で構築されることが指摘されている(Jamal and Lelo 2011)。
このような問題意識の下、本発表では京都の「心霊スポット」を訪ねる「京都怪談夜バス」で2010〜2011年に行った調査の際に収集したデータに基づき、死に関わる目的地としての心霊スポットに注目したい。
ツーリスト、メーカー、そしてモノ(霊・墓地・池・本等)も含む様々なアクター間の相互作用によるエージェンシーのネットワークを検討し、目的地としての「心霊スポット」の構築過程を考察してみたい。

【2】西部戦線戦跡ツアー
   ―トレンチアート、墓地、記念碑の世界をめぐって―
   田中雅一 氏(京都大学人文科学研究所)

本発表は、第一次世界大戦の激戦地で有名なベルギー西部のイープルを拠点とする西部戦線ツアーを扱う。
第一次世界大戦で亡くなった多くのイギリス兵たちの遺体は、ひとりをのぞき本国に持ち帰ることが禁じられた。その結果、戦後多くのイギリス人遺族が西部戦線を訪れた。これがこの地の「ツアー」の始まりである。かつての戦場には手入れの行き届いた美しい墓地が点在し、激戦地には各国が競うようにして記念碑を建立する。
西部戦線で遺族や観光客は何を見ているのか/見せられているのか。このような問いを通じて戦跡地の聖化やモノを通じての人々と戦跡地とのかかわりについて考えてみたい。


【3】聖地はどのように観光地となるか
   ―ブラジル世界救世教の聖地ガラピランガの場合―
   松岡秀明 氏(淑徳大学

聖地は、宗教的な権威や正統性が顕示されることが社会によって割り当てられた場所―フーコーの言葉を借りるなら「指定用地」(emplacement)― である。また、場合によっては宗教的実践を行なう指定用地でもある。
一方、観光地は日常世界にまして美を鑑賞することが可能な指定用地である。
本発表では、信者以外にも公開され近年エコツアーの対象ともなっているブラジル世界救世教の聖地ガラピランガの宗教的側面と観光地としての側面の関係を分析する。

※ご参加は自由です。事前申込等も不要です。